《ムリ・ムリ・ムリ》から《ムリ・ムダ・ムラを省く》へ




   


今日は、自分の担当する仕事が午前中で終ったので、現場はまだ動いていたから申し訳ないと思いつつ、半日で仕事を上がらせてもらった。午後は、ひとりMTGと久しぶりの読書。小説を読みたいと思ったけれど、ここ最近忙しく働いたのと、その反省からビジネス書を読むことに。


大野耐一トヨタ生産方式ダイヤモンド社


言わずと知れた現場運営のバイブルだけど、今一度読み直してみた。この本は「トヨタウェイ」として日本のみならず世界中の企業に影響を与えている名著だが、ちゃんと理解されていない点もある。その点をおさらいしておこう。



○ ムダを省く


まず広く理解されているのは「ムダを省く」という点である。これは小泉構造改革の頃から日本中で一大ブームになったし、企業のみならず、家庭にまで広く及んでしまったことによりデフレブームの火付け役まで演じてしまうという思わぬ事態を招いたが、現場という観点で言えば、基本的に正しいことだし、私が勤めている工場でも社員の意識にまで広く浸透している。



○ ムリ・ムラを省く


では逆に理解されていない点は何かと言えば、それは「ムリ・ムラを省く」という点である。先月、年度末ということもあり、滅茶苦茶忙しくて、3日(本当は5日)ほぼ完徹して納期に間に合わせたのだけど、我ながらよく頑張ったと褒めてあげたいのだけど、結論から言えば、学生ならともかく社会人が徹夜していたらダメなのである。なぜなら、学生の場合は、徹夜して試験をクリアしさえすればいいし、その後いくらでも休めるけれども、社会人は1つの製品を納品したくらいでは休めないし、1年中ずっと高いパフォーマンスを維持せねばならないからである。


また、徹夜してはいけないもう一つの理由は「ムリ・ムラ」がミスを招くということである。これは設計事務所に勤めていた時のことだ。設計事務所の指示の不手際により、変更、変更が繰り返され、現場が混乱して、ドタバタの状態が続いていた。なんとか現場が頑張ってくれて竣工にまでこぎ着けたのだが、予算が大幅にオーバーして最後はケンカになった。そして、力関係上、設計事務所の責任は回避されたのだが、本当によく頑張ってくれた現場所長が左遷されるという最悪の事態を招いてしまった。これは建築現場のみならず、今の工場でも似たようなことが起こっている。本当によく頑張ってくれている人をつぶしてしまうような「ムリな計画」による「ムリな仕事の動き」がちらほら見られる。



○ 《ムリ・ムリ・ムリ》から《ムリ・ムダ・ムラを省く》へ


中小企業の実体は、システム云々ではなく、基本的に《ムリ・ムリ・ムリ》のマンパワーで成り立っている。トヨタのような大企業のきれいごとがそのまま通じる訳ではない。実際、トヨタの成功の最大の秘訣は何かと言えば、それは納期交渉の妙であり、注文してから納車まで何ヶ月もかかるというあり得ない納期をお客様に受け入れさせている点である。これを中小企業が真似して、顧客に「1ヶ月後にジャストインタイムします!」なんて言ったら、張り倒されるだろう。 トヨタのような大企業と私の勤めているような中小企業では置かれている立場が違うので、このあたりのさじ加減が難しく、単純に真似すればいいという問題ではないが、基本姿勢として、《ムリ・ムリ・ムリ》から《ムリ・ムダ・ムラを省く》へと改善されるように働きかけて行こうと思う。



[追記]


中小企業の場合、基本は《ムリ・ムダ・ムラを省く》で、もう本当にどうしようもない時は《ムリ・ムリ・ムリ》で乗り切るという感じだろう。そのあたりアレンジを重ねて、『トヨタ生産方式(中小企業ヴァージョン)』を書き上げて、ぼろ儲けしよう!



ま、それはともかく、次のプロジェクトはこの線でやってみよう☆




   《参考文献・論文》




トヨタ生産方式――脱規模の経営をめざして

トヨタ生産方式――脱規模の経営をめざして


リコール問題以前のトヨタ問題を問う











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阪根Jr.タイガース




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 阪根タイガース日記