Road to 大江健三郎 論
001 大江健三郎を読む(2007.07.05〜07.23)
- 作者: 大江健三郎
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002 読みながら、イエローマーカーで線をひく
003 マーカーをひいた箇所を再読しながら付箋を貼る
※ 読んだ手応えから、じゅうぶん原稿化できると判断する
004 マーカーをひいた箇所を再読し、もう一度心に響いてきた箇所に赤線をひく
※ ちなみに哲学書等の難解な文献や文体がフィットしない本を読む場合は、線をひかずに目で文字を追うだけに留め、読み終えたらそのまま本棚に寝かせる。
005 赤線をひいた箇所をひたすらワープロでタイプ打ちする(07.24〜07.26)
※ このプロセスは、時間的に厳しい場合はカットしても良いと思う。読むだけでなく、書くことでより理解が進むということを期待しての作業であるが、実際はタイプ打ちすることに神経が集中するので内容にはほとんど目が行き届かない。ちょうどアナウンサーがニュース原稿を読んでいるような感覚ではないだろうか。
ただ、徒労感たっぷりのこのプロセスは読み手と書き手との距離を少なからず埋めてくれるようにも思う。本を書く場合、構想期間を含まず純粋に書く作業だけを考えても、1〜2ヶ月はかかる。その本を読むのに2〜3日、せいぜい1週間もあれば事足りる訳だから、本を読むことに慣れてしまうというのは実に怖いことでもある。
「読むは易し書くは難し」である。
006 打ち込んだデーターを出力する(A4用紙11枚、文字サイズ6ポイント)
007 通勤の往復の電車内で再読し、「キーワード」を拾う(07.27〜07.29)
008 「キーワード」を確認する
【核時代の想像力】
001 想像力
002 同時性
003 「虎」
004 多様性
005 コミュニケイション
006 このとおりやればいいのだ、この方法で生きればいいのだ
007 自由
008 われわれが自分の同時代にどのように参加してゆくかということ
009 ユマニスト
010 いちどひっくりかえして別の視点から反省しようという人間
011 野蛮人(文明人)
012 犯罪者
013 犯罪には(中略)社会そのもののひずみを鋭くあきらかにする力があります
014 「真空地帯」
015 閉じた社会
016 民衆の力の充実、成長
017 近代化
018 死
019 一種のお祭り
020 想像力とは言葉にほかならぬ
021 想像力が死ぬ
022 状況
023 多様性
024 主体性
025 人間的な綜合性
026 芸術家
027 大企業体制
028 完全非武装
【読む人間】
029 誰に向かっていっているか
030 文学の言葉への驚きにみちた私の感覚
031 師匠
032 「全身運動」
033 一種の精神
034 想像力
035 自分は人間的か、自分の周りにいる馬たちのほうがもっと人間的じゃないか
036 往復
037 長男の光(大江光)
038 「自分はこういう習慣を持っている」
039 「文体」
040 預言詩(プロフエシー)
041 読んでいる本をきっかけにして、自分の生活を書く。
子供のことを中心にして書く、ということをしてきました。
042 夢を見ているんですから!
なんにも、ぜんぜん、恐くありません!
夢ですから!
043 しかし自分は死なない、自殺はしないというんです。
それはなぜか、とかれは話す。
044 「第三の場所」
045 自殺した人間は自分に対して暴力を振るった者として
046 小説の誕生
047 きみはないぜ!
048 仕様がない!私は自分の想像力と思い出とを、葬らねばならない!
【あいまいな日本の私】
049 《ambiguous であるが vague ではない》
050 「人生の習慣(ハビツト)」
051 「上品な(デイーセント)」
052 ユマニスト
【「新しい人」の方へ】
053 「未来にはみ出す」
054 ドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』
055 コーリャ
056 「そうだ、僕はあの頃、善良で、大胆で、正直だった」
057 核兵器がもう一度使われないようにする努力
058 雨のしずくに
景色が映っている
しずくのなかに
別の世界がある
059 「怨望」
060 ウソをつかない力
061 「誇り」
062 「知識人」
063 「読書人」
064 プラトンの『メノン』やガリレオ・ガリレイの『新科学対話』
065 「もし若者が知っていたら!もし若者が行えたら!」
066 「私たち」まるごと
067 「忍耐」
068 「生きる練習」
069 「遅読術」
070 「新しい人」になるほかない
009 作品の「心臓」を摘出する
【核時代の想像力】
1.想像力
2.言葉
【読む人間】
1.文体
2.師匠
3.知識人
【あいまいな日本の私】
1.上品な(デイーセント)
2.ユマニスト
【「新しい人」の方へ】
1.未来にはみ出す
2.読書人
3.新しい人
※ これで前半戦は終了。かなりスッキリした。書く準備は整った。あとは大江氏を論じる「核」をつかめれば、原稿が1本上がるだろう。
※ ここまでは「読む人」。「読み方を教えてくれ」と言われれば教えられる。
でも本当の醍醐味はここからであり、徐々に「書く人」へシフトしていく。
(07.26〜07.31)
010 散歩をする(30分)
011 水泳をする。少々流し気味に(250m)
012 サウナ(10分)
013 体重を量る(69.7 Kg、やや太め)
014 電車内でうとうとしながら頭をひねる(2往復、約3時間)
015 コーラを1本飲む
016 シュークリームを6個食べる
017 「トランス」なんか聴いてみる
018 でもそんなの関係ねぇ。はい! オッ バッ ピー!
019 家計簿をつける
020 洗濯物を取り込む
021 次のテーマの書籍を古本屋に注文する
022 「矢井田瞳」を聴く(結婚したらしい)
023 選挙の投票に行く
024 メガマックを喰らう(もちろんクーポン券で購入)
025 地元の報徳学園が甲子園、春夏連続出場を決める!
応援メッセージをmixiにアップする(素直によろこぶ!!)
026 8月の帰省の高速バスを予約する(チケットを取れてホッとする)
027 スタバでアイスコーヒーを飲む(¥280、約1時間)
028 ちなみにノートとペンは常に持っている
(書くのは原稿より、日常生活の反省文が多い)
029 ビール3本とコーラ3本を補充する
030 「負けました」。
三十一日午後五時二十一分、投了の意思を告げる(終)
※ photo by montrez moi les photos
http://b69.montrezmoilesphotos.com/
【編集後記】
※ 「深刻な決定力不足」を反省しています。でも明日に引きずりたくないので、「投了」はいいタイミングだったと思います。これから洗濯をして、『レインマン』をDVDで観て(返却期限が明日なのだ)、早々に寝るつもりです。明日からはまた新たなテーマに取り組みます。
※ 大江氏を論じる「核」は、その思考の形成プロセスと変遷を捉えることだと思います。氏が33歳の時(1968年)に行った講演会(『核時代の想像力』)と昨年(2006年)行った講演会(『読む人間』)とで語っている主旨は同じです。つまり、大江氏の思考の骨格は30歳ですでに完成していたと言えます。しかし、その時々の社会背景、大江氏の置かれている状況の違いによって、内容、文体は大きく変化します。日本の小説界では別格(巨匠)扱いされている大江氏であっても、安定した軌道を描いている訳では決してなく、浮き沈みが非常に激しいのです。それをリアルに伝えられるかどうかだと思います。
例えば、建築史家の井上充夫が、ヴェルフリンの『美術史の基礎概念』(※1)の論法をベースにして、『日本建築の空間』(※2)という論文で、日本建築の空間の変遷を捉えました。ぶっちゃけて言ってしまえば、この論文は「ヴェルフリンのかえ歌」のようなもので、「オイオイ、お笑い芸人じゃないんだから」と学者として評価するか否かは「???」ですが、こういうのもありだと思います。つまり、大江氏の思考(フオーム)の変遷を捉えるために、フォシヨン(『かたちの生命』※3)をぶつけてみたら面白いのではないか。「形の世界」→「空間に生きている形」→「素材に生きている形」→「精神に生きている形」→「時間に生きている形」、この論線に大江氏を乗せてみたらどうだろうかと、ふと思いました。
※1 ハインリヒ・ヴェルフリン『美術史の基礎概念』慶応義塾大学出版会
http://www.junkudo.co.jp/detail2.jsp?ID=0100609271
※2 井上充夫『日本建築の空間』鹿島出版会
http://www.junkudo.co.jp/detail2.jsp?ID=0187182440
※3 アンリ・フォシヨン『かたちの生命』ちくま学芸文庫
http://www.junkudo.co.jp/detail2.jsp?ID=0104827002
- 作者: ハインリヒヴェルフリン,Heinrich W¨olfflin,海津忠雄
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