宇野邦一×芳川泰久×堀千晶トークセッション
タイトル: ドゥルーズと異形の文学者たち
■ 日時:2011年3月4日(金)18:30〜20:30
■ 会場:ジュンク堂書店新宿店(8F喫茶コーナー)
《感想文:語りの風味》
宇野邦一先生の語り
芳川泰久先生の語り
宇野邦一さんは、ドゥルーズの本に「Kuniichi」って出てくるから知っている。芳川泰久さんと堀千晶さんは『ドゥルーズ・キーワード89』を書いているから知っている。堀千晶さんはつい最近まで女性だと思っていたけど。
芳川さんは、今日はぎっくり腰で2時間近く椅子に座っていられるかさえ心配だった。自らがコントロールできる訳ではない身体の負荷が痛みになって、いつ、どのタイミングで襲ってくるかわからない。いったいどこまでドゥルーズに持っていかれているんだ!? もちろん、好きでぎっくり腰なる人なんていない。
今日は何を期待していたか? そもそも刊行記念とされた『ドゥルーズ 千の文学』(せりか書房)という本が、変と言ったら失礼だけど変な本で、500ページを超える大著だから、「こりゃ大変だ!」と身構えたし、初めは「えっ、ドゥルーズにまだこんなすごい未訳原稿があったの!?」なんて思ったりもした。
● 18世紀生まれ
ヘルダーリン 1770-1843
クライスト 1777-1811
ド・クインシー 1785-1859
バルザック 1799-1850
● 19世紀生まれ
メルヴィル 1819-1891
キャロル 1832-1898
ザッハー=マゾッホ 1835-1895
バドラー 1835-1902
ゾラ 1840-1902
マラルメ 1842-1898
ジェイムズ 1843-1916
ランボー 1854-1891
シュオブ 1867-1905
プルースト 1871-1922
ジャリ 1873-1907
ペギー 1873-1914
ルーセル 1877-1933
ムージル 1880-1942
ウルフ 1882-1941
カフカ 1883-1924
D.H.ロレンス 1885-1930
T.E.ロレンス 1888-1935
ペソア 1888-1935
マンデリシターム 1891-1938
ミラー 1891-1980
アルトー 1896-1948
フィッツジェラルド 1896-1940
ブスケ 1897-1950
バタイユ 1897-1962
ミショー 1899-1984
ボルヘス 1899-1986
● 20世紀生まれ
ゴンブロヴィッチ 1904-1969
クロソフスキー 1905-2001
カネッティ 1905-1994
ベケット 1906-1989
ブランショ 1907-2003
ラウリー 1909-1957
ジュネ 1910-1986
ルカ 1913-1994
バルト 1915-1980
ロブ=グリエ 1922-2008
トゥルニエ 1924-
◎ドゥルーズ 1925-1995
ウルフソン 1931-
ベーネ 1937-2002
総勢44名の文学者を様々な人が、様々な語り口で論じている。44名の人選は恣意的。ドゥルーズが触れている人もいれば触れていない人もいる。ドゥルーズが1冊の書物になるぐらい語っている人もいれば、1行しか触れていない人もいる。論じ方も大きな縛りもなく、語り手も哲学者であったり文学者であったり、ドゥルーズに詳しい人だったり、そうでなかったりと区々。なんだかよくわからない44名をなんだかよくわからない25名が論じている。
このような得たいの知れない本にどう触れていくのか、その手触りを感じられればと思って、今日のトークを聴いていた。聴いていた感触は以前の「港千尋さんと今福龍太さんのトーク」に通じていた。あのときも《せりか書房》の本の刊行記念だった。偶然か?
宇野さん、芳川さん、堀さん、ドゥルーズやバルザックやジュネなどに触れながら身体をつくり上げてきた人たちが、ひょっこり僕たちの前に姿を現し、語り出す。風味がある。けっして流暢ではない語り。ときどき黙り込んだりする。うっと詰まったりする。噛みしめるように語りを紡ぎ出す。目をつむっている時間が長い、ときもある。一つ一つに風味がある。この風味。
『ドゥルーズ 千の文学』が読みたくなってきた。
- 作者: 宇野邦一,芳川泰久,堀千晶
- 出版社/メーカー: せりか書房
- 発売日: 2011/01
- メディア: 単行本
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※このトークイベントの音声を後日、丸善&ジュンク堂書店のウェブサイトから配信する予定です。『ドゥルーズ 千の文学』のお供にぜひ、ご利用ください。
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