神戸



スタバがあって、ロフトがあって、ユニクロがあって、百貨店の1Fはコスメで、婦人服売り場が幅を利かせていて、有名ブランドショップが軒並み名を連ねている。こういった変化は東京で起こっている、それと何ら変わらない。


予備校時代に時間を潰していたドトールはまだ同じ場所にあって、阪急電車は相変わらずチョコレート色で、母校の制服も10年前と同じで、冬でもコートの着用は禁止されているようで、ダサいかばんを肩から掛けて、白いスニーカーを履いていて、一方女子校はと言うと、やっぱりスカートが長いのだった。


東京に出てきた時の印象が強かったから、東京は人が圧倒的に多くて、ゆえに街がすごいスピードで動いているのだと感じられ、東京にいると地方は視界から完全に消えてしまっていて、相対的に止まっているように思っていた。しかし、実際は、そこはそこで日々人々の営みがなされており、変わる所は変わって、変わらない所は変わらないで、街はちゃんと動いているのだった。


東京で建築を勉強していた時に、数冊の本の出版にも携わったが、この手の専門書は、せいぜい東京の学生が読むぐらいだろうと思っていたが、一地方都市である神戸の大型書店にも、東京の書店と同じように置かれていた。神戸の学生も読んでいるのだろう。それを手にとってパラパラとページをめくってみると、なんだか変な感じがしたけれども。


テレビもほとんど変わらず、東京ローカルと思われているテレビ東京の番組もちゃんとやっている。まぁ関西ローカルの番組はやはりあって、最近見ないと思っていたタレントが出ていたり、たかじんが出ていたり、オチをつけようとする関西人特有の会話の間合いに多少違和感があったけど、すぐに慣れてしまった。ラジオはFM81.3からFM80.2へ。DJのしゃべりがアップテンポになったような、ならないような。


何も変わらない?


先日、大学ラグビーのテレビ中継を見ていて、空の色が、ちょっとくすんだ色が、あぁ東京だと思わせた。でも、それは秩父宮ラグビー場で実際に見ていた時に感じていた色ではなくて、かつて関西にいた時に感じていた東京の色だった。


何も変わらない。けど、ここはやはり神戸で、この文章を書いているのはスターバックスなのだった。


(2005年11月30日)



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