佐々木敦×長嶋有トークセッション
タイトル: 「ねたあとに」をまえに■ 出演
佐々木敦(批評家)
長嶋有(小説家)
■ 日時: 3月19日(木)18:30〜20:45
■ 詳細: こちら
《感想》
阪根: 佐々木さん、今日も2時間フルにお疲れ様でした。
佐々木: いや〜、今日で確信したよ。オレ、小説家が相手だったら何時間でも話せるわぁ。
阪根: ・・・
例えば、浅田彰に対する批判というのは、浅田氏その人以上に決まり切っていて「あのタイプの優秀な人はハーバードにいったらごまんといるんだよ」という感じなのだけど、その一方で、シンポジウムで浅田氏を初めて見た人は皆一様に驚く。「あの人、主語と述語が絶対にズレないね」という感じで、テープ起こしをした人の話によれば、氏の場合、話していることがそのまま文章になるらしい。自分の話しているのをテープにとって起こしてみたら分かるけど、話しているうちに話しがどんどんズレていってとてもじゃないけど文章にはならない。それを考えると浅田氏の頭のなかでは、多量の知識が異常に統制がとられた状態で納まっている訳で、その浅田氏を批判するというのは思っている程容易くない。浅田氏より気が利いたことを1つ2つ言える人はそれこそごまんといるだろうけど、浅田氏の土俵に乗って勝負を挑み、その代役を務められる人がいるかと言えば、おそらくいない。「オレは浅田なんかにはなりたくねーんだよ」という捨てゼリフでは批判になっていないし、浅田氏を超える確実な何かを提示しなければ批判は成立しないので、やはり容易くない。さあ、皆さん、どんどん批判しましょう!
なんてことを考えたのは、佐々木さんを観ていたからで、佐々木さんは浅田彰とも違うのだけど、やはり絶対にマネできないものを持っている。今回の対談相手は長嶋有さんでくせ者なのだけど、長嶋有さんってもっと話しをはぐらかすかと思っていたのだけど、ガチンコで答えていた。佐々木さんがうまくだましたのか、気が合ったのか、長嶋さんがいい人なのか、よく分からないけど、2時間テンション上がりっぱなし、しゃべりっぱなしで、充実したトークだった。絶対マネできないと確信した!
残念ながらダルビッシュ有さんは所用のため来てくれなかったのだが、「ジュンクのトークショーより大事な仕事があるのか!」とツッコミたいところだが、どうしてもというので、渋々あきらめた(ウソ)。「ダル!がんばれよ!!」。 するとそんな空気を察してか、なんとミスターが来てくださいました! お父様の長嶋康郎さんが!! もう最高です。話さなくても雰囲気だけで全てを語ってくださいました。「熊谷守一が生きていたら、こんな感じかな」って顔の皺とあごに蓄えた髭をトークの間ずっと眺めておりました。「長嶋家の父上は偉大だ!」と改めて思った次第です(ご子息がダメだとは言ってませんよ・・・)。
トークを通じて感じたのは、長嶋有さんってやっぱりくせ者だということで、「あらゆる意味でやっちまっている!」ということだった。小説のなかでも、そとでも。
ねるまえに、ちょっくら『ねたあとに』読んでみるか。(←語義矛盾)
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