《福永信フェア担当者日記》その1



(6月30日)あしたから7月


予定を入れようと思えば入れられるし、仕事をやろうと思えばやれるけど、自らの体の反応に身を任せたら、ほとんど寝ていた。上半期が終わった。

(6月29日)フェデラー8強


 へんてこな
 本がまともに
 なっただけ
 でも心から
 祝福します


  枡野浩一

昨日の茶飲み話でも「読みやすくなったって自信を持っていいよ」と円城さんから祝福されてました。福永さんの本が読みやすくなって一安心!


が、またへんてこな本が出てきました。


ダメだよ。


福永さんを刺激しちゃ!


 
 
 表側 一見ふつう


 
 裏側 鏡張り


 
 折り曲げて


 
 おっ、やっと読めた!



このへんてこな本を作ったのは、僕の知り合いの藤原ちからさんの知り合いの萩田洋文さんです。


8枚の鏡を見た君


何色問題

手作りでもう4冊ぐらいしか残ってません。もうこれっきりです。



へんてこ本は永久に不滅です、ですかー。ふぅー。





僕は運動おんち (集英社文庫)

僕は運動おんち (集英社文庫)

  枡野浩一さんの新刊


淋しいのはお前だけじゃな

淋しいのはお前だけじゃな

  福永信フェアの棚にある枡野本


アクロバット前夜90°

アクロバット前夜90°

  福永信さんの新刊

(6月28日)阪神が勝った!


近未来都市立川へ。


トーク@オリオン書房 に参加。


福永信さんと青木淳悟さんと円城塔さんに岡田利規さんを加えて《4バカ》と言うらしい。放っておくと何を書いてしまうか予断を許さないという意味で。


今日はそのうち、福永さんと円城さんがいて、それに栗原裕一郎さんを加えた編成のトークだった。これまた《3バカ》と言っても過言ではない。放っておくと何をしゃべりだすか予断を許さないという意味で。


トークは、お茶とお菓子がふるまわれ、終始ゆる〜い感じ。茶飲み話なり。お話いろいろ。人生いろいろ。


僕のよこには小説家の柴崎友香さんが座っていました。一昨日ぐらいに読んでいた山崎ナオコーラさんの小説に実名で出てきた人です。



「こないだ、大阪に柴崎友香さんが、講演をしに来たんです。僕、聞きにいきました」


「どうでした?」


「柴崎さん、めっちゃ可愛い。書くものと本人が一致している感じがしました」


山崎ナオコーラ『論理と感性は相反しない』p.39.)

はい、めっちゃ可愛いです。



それからトーク終了後、画家の古谷利裕さんとお話しました。


はい、福永信さんを味噌ご飯生活へと追いやった張本人です。



福永さんの書評には、この本を買ったら《これでしばらく味噌ご飯がつづくことになるが》と書かれていて、あっ、と思い、きっと福永さんもぼくとあまりかわらない経済的な状況で生活しているのだろうなあと思って、一瞬ニヤッと口元が緩んだ、


偽日記2008年8月7日

「・・・・」。



えーと、えらく回りくどい言い方をしましたが、柴崎友香さんとお会いするのは初めてではなく、そもそも福永信さんを紹介してもらったのが柴崎さんなのでした。そして、僕が小説についてなにかしら文章らしきものを初めて書いたのも柴崎さんについてなのでした。ほら、これ


※ なんか、オレすごいこと書いてるな。蓮實重彦嫌いって(汗。)えーと、確かにいまでも苦手です(汗。。。) が、一昨日ぐらいに読んでいた大谷能生さんの本のおかげで蓮實重彦アレルギーがだいぶん治まりました。


それから古谷利裕さんももちろん初めてお会いする訳ではなくて、僕が書店勤めをして初めて企画したフェアが《古谷利裕フェア》なのでした。ほら、これ


それから、まだあります。『美術手帖』編集長の岩渕貞哉さんを福永さんから紹介してもらったのですが、すでに会っている方でした。広島県灰塚アースワークプロジェクトに岩渕さんも僕も一緒に参加していたのでした。ほら、これ


ちなみに滞在期間はズレていましたが福永信さんも参加していたのでした。ほら、これ。そして、いまを時めく東浩紀さんも通訳として参加されていました。



シンクロニシティ



じゃないと思う。


誤解を恐れずに言えば、



岡崎乾二郎平田オリザ佐々木敦の3人が芸術活動を支えている

という簡単な話です。


みんなこのお三方に何かしらお世話になっていて、未だ芸術活動を続けているということです。


多謝。

(6月27日)汗だく


やってしまった。ブルボン小林書店の看板商品『ぐっとくる題名』の在庫を切らせてしまう。すみません。すでに追加発注しております。入荷までしばらくお待ちください。


お急ぎの方。ご安心ください。新宿は便利なところでございます。斜向かいの大きな本屋さんでご購入ください。もし斜向かいの大きな本屋さんにもなければ、駅の向こう側の大きな本屋さんでご購入ください。もし駅の向こう側の大きな本屋さんにもなければ、駅の南側の大きな本屋さんでご購入ください。もし駅の南側の大きな本屋さんにもなければ、それはあなたの日頃の行いが悪いと思って反省してください。お経の一つや二つ、あげてみてはいかがでしょうか。観音経なんていかがでしょうか。仏教コーナーにご用意しております。


ブルボン小林書店》の「パタリロ!11巻」が売れたので補充したり、その他数冊補充したり、レジがバタバタしたり、円城さんにご挨拶したり。


はい。昨日宣言しました《福永信フェア 選書リスト 特別版》印刷&製本完了! もちろん、円城塔さんの選書リスト《家が燃えた時に買い直す本を選んでみました》もちゃんと入ってますよ!!! しかも円城さんのコメント付き! 例えばですねー、




 「モレルの発明」水声社


 ■こんな感じで暮らしています。

なんの捻りもなくそのまんまのコメントですが、この歯に衣着せぬ物言いは、リアリストの円城さんらしいと思います。その他ざっと50冊!お楽しみに!!!


僕の仕事は片付けたので明日の16:00まではフリー。当然読書。昨晩の西山雄二先生のレクチャーが刺激的だったので哲学本を読み続ける。熊野純彦レヴィナス入門』(ちくま新書)。この次にレヴィナス『全体性と無限』(岩波文庫)へ行きたいところだが、その前にもう一つのルートの入口を攻めておきたい。本橋哲也『ポストコロニアリズム』(岩波新書)。これも今やっているフェア棚からだけれども、G.C.スピヴァクを勉強したいと思っていて、その布石。本橋哲也先生のトークのレポートはこちら





ぐっとくる題名 (中公新書ラクレ)

ぐっとくる題名 (中公新書ラクレ)


パタリロ! (第11巻) (花とゆめCOMICS)

パタリロ! (第11巻) (花とゆめCOMICS)


モレルの発明 (フィクションの楽しみ)

モレルの発明 (フィクションの楽しみ)


レヴィナス入門 (ちくま新書)

レヴィナス入門 (ちくま新書)


全体性と無限 (上) (岩波文庫)

全体性と無限 (上) (岩波文庫)


全体性と無限〈下〉 (岩波文庫)

全体性と無限〈下〉 (岩波文庫)


ポストコロニアリズム (岩波新書)

ポストコロニアリズム (岩波新書)


 《西山雄二先生の講座》



デリダ「エクリチュールと差異」を読む

 開催日:7月24日、8月28日、9月25日


 会場: 朝日カルチャーセンター新宿教室

(6月26日)ぽっかぽか


 福永信 ×  栗原裕一郎 × 円城塔



タイトル:臍で茶のみ話

会場: オリオン書房@立川


日時: 6月28日(日)16:00 〜


申し込みこちら


それで、僕は入場料を免除してもらったのでそのお返しに《福永信フェア 選書リスト》をお客さんに配ろうと思います。まだネットでも選書リスト公表してませんしね、それに円城さんがいるので、店頭でもまだ配布していない円城さんの選書リストもつけてしまおうと思っています。それで、その編集作業を今やっています。だから今日の日記はパス。


ではでは。


あ、あ、1つだけ。洋服作家のツルちゃんこと河野千鶴さんが表参道で個展しています。
今日行ってきましたがすばらしい!
作品も素晴らしいのですが、ツルちゃんのビジョンの的確さに感服しました。
作家がこれだけしっかりしていれば、批評家はもういらない!
オレなんか、何も書かずに本だけ読んで、資金が尽きたら飢死すりゃいいやって前向きに思いました。


皆様もぜひ!!!


 鶴洋品店《鶴展》




 会期:6月24日〜28日(日)11:00〜19:00

 場所:GaleriaM @ 表参道

(6月25日)晴れ


昨日の日記はがんばった。そして今日はトイレットペーパーがよく売れた。残念ながら『アクロバット前夜』(横組版)とセットで買うなんていう粋なお客さんはさすがにいなかったが。いや、そんなお客さんがいたら大変だ。レジで涙がとまらずとても仕事にならないだろう。いなくてよかったのだ!


帰りの電車でナオコーラをコーラを飲みながら読む。言っておくがオレはイカした読者だ。しかし車内で半分以上を寝て過ごした。


今日の日記はこんな程度でいいだろう。


明日は、西山雄二先生(UTCP)のレクチャーを受けるので哲学モードに切り換える。西山先生のトークのレポートはこちら。文学もよいが哲学もよい。ぜひ。 ちょうど明日、関西から市田良彦先生がいらっしゃるではないか。滅茶苦茶面白い人らしい。トーク(6時30分スタート)の申し込みはこちら。ぜひ!


なんだか、『カルチュラル・タイフーン2009』が開催される関係でいま東京に面白い人がうようよしているらしい。こんな人も参加するらしい。ぜひ!!!

(6月24日)深夜に雨に降られて洗濯物がもう大変さ


誰だ!


トイレットペーパーをぐいんぐいん引っぱり出したは!!



 
  犯行現場



福永氏、店に寄ってくださる。「しおり風コメント」増産。ありがたい。トイレットペーパーをぐいんぐいん引っぱり出してくだざる。ありがた、くない。いい子はまねしないようにね!


そんでみっともないから僕はいつもすぐにちょんぎって片付けてしまうのですが、どうしてもは引っぱり出してしまうのです。で、この有り様という訳です。それで呆然として突っ立って眺めていたのですがね、今ちょうどフェア棚でヨコ組版『アクロバット前夜』の展示を行っているのですがね、なんか文字がヨコに永遠に続いていく感じとトイレットペーパーがぐいんぐいん引っぱり出されていく感じというのが妙にパラレルしているのですよ。これつまり、福永氏の文体(生理)なのではないかと!



 
  ヨコへヨコへ文章はつづく



 
  ヨコ組版とトイレットペーパー



ちょうど内田樹先生が昨日のブログで、村上春樹作品のキーポイントは「ご飯と掃除」だと指摘されていました。


天吾は米を洗い、炊飯器のスイッチを入れ、炊きあがるまでのあいだにわかめとネギの味噌汁を作り、鰺の干物を焼き、豆腐を冷蔵庫から出し、ショウガを薬味にした。大根をおろした。残っていた野菜の煮物を鍋で温めなおした。かぶの漬け物と、梅干しを添えた。大柄な天吾が動き回ると、小さな狭い台所は余計に狭く小さく見えた。しかし天吾自身はとくに不便を感じなかった。そこにあるもので間に合わせるという生活に、長いあいだ慣れていた。「こういう簡単なものしか作れなくて悪いけど」と天吾は言った。


村上春樹1Q84』から)


さすが村上春樹大先生! でも福永氏も負けていない!!




イルクーツク2』の最後の納品をしに行ったついでに、本屋さんをぶらぶらしてて見つけた、ウェブサイト『偽日記』の著者による初評論集。ぱっと手にとって、買った。これでしばらく味噌ご飯がつづくことになるが、ぼくには、いろいろ書くくせにめったに本にまとめないもの書きで好きな人が何人かいて、本にまとめないとなるとひとつひとつ雑誌をあたるしかないが、それはそれでたのしいというか、偶然開いた古い雑誌のバックナンバーや図書館の本なんかで、その人の文章を見つけたときのよろこびときたら! 古谷利裕のこの本にも、そんなふうにバラバラな文章でこれまで読んできたもの書きがやっと本にまとめた、それに読者として出会えた、と感じてうれしかったのだ。


(新潮2008年9月号から)


 素晴らしい!


 「味噌汁とご飯」じゃなくて「味噌ご飯」とは!!


 村上春樹大先生もびっくりだろう。




フクナガはご飯を冷蔵庫から出し、味噌を塗りつけた。しかしフクナガ自身はとくに不便を感じなかった。そこにあるもので間に合わせるという生活に、長いあいだ慣れていた。「こういう簡単なものしか作れなくて悪いけど」とフクナガは言った。


完璧だ!!!


でも、思うのです。これは福永作品のまだまだ入口にすぎないと。そう、福永氏は「料理の作家」ではなく、「トイレの作家」なのだ! 福永氏ほどトイレを魅力的に書く作家はいない!(もう一人いるけどね。いい子がね)福永作品には「トイレ」の場面が多い。異常に多い、と申し上げてもよろしいであろう。




男子トイレの中にいればいいというのは女子からねらわれているということを示しているのだろう。いままでかかわった女子といえばクスノセとセキタとタノウエとエズキ先生だ。君はまだ僕がねらわれていると思っているのだった。守る必要のない僕を守ろうとしてくれているのだ。僕は、君の見当ちがいの行為にまた悲しい気持ちになって、君の入っているドア側の個室を振り返った。個室のドアは開いていた。君は中にいなかった。窓側の個室だけが閉まっていた。不良生徒の真似をして僕はジャンプしてその個室の中を上から覗き込んだ。しゃがんで不安そうな顔をしたタジマと目が合った。「トトトイレットペーパーを」とタジマはかすれた声で言った。とうとう君は連れ去られてしまったのだと思った。いつ油断してしまったのかはわからなかった。僕は覚悟をした。だが冷静になってみると君がいないのは当たり前だ。さっきチャイムが鳴って、いまは五時間目の授業が始まっているのだ。だから君はトイレの中にいなくて当然だ。不良男子生徒とともに、教室に戻ったのだ。そう考えるのが自然だ。そういう僕こそ、いつまでもここにいるのは不自然だ。僕は静まり返った廊下を教室に向かった。


福永信『アクロバット前夜90°』から)


うむ。鬼に金棒とはこのことか! 料理にトイレ!!


完璧だ!!!




  《週刊売り上げランキング》


 第 1位 村上春樹1Q84


 第15位 福永信『アクロバット前夜90°』



 


ついに村上を視野に捉えたぞ!


もう目と鼻の先のキョリだ!


景気づけに一曲!



 世界はあなたを求めてる 作詞:平田オリザ




便座の輪は世界の輪、宇宙を包む神秘の楕円
眠りから覚め、いま進む、改革の時、前進の時、


世界はあなたを求めてる。あなたは世界に走り出す
輝く伝統引き継いで、便器の未来、切り開く


進め進め、世界のために、アジアのおしりを洗うのだ
開け開け技術の扉、心で磨くこの曲線



便座の輪は世界の輪、宇宙を包む神秘の楕円
マーケティングのその先に、信念の夢、未来の希望


世界はあなたを求めてる。あなたは世界に走り出す
流れる水は流々と、便器の未来、切り開く


進め進め、世界のために、アジアのお尻を洗うのだ。
歌え歌え歓喜の唄を、心で磨くこの曲線


打倒『1Q84』! めざせ100万部!!!



※ 事実ですがフィクションです。




 鈴木光司ドロップ



アクロバット前夜

アクロバット前夜


1Q84 BOOK 1

1Q84 BOOK 1


1Q84 BOOK 2

1Q84 BOOK 2


世界へと滲み出す脳―感覚の論理、イメージのみる夢

世界へと滲み出す脳―感覚の論理、イメージのみる夢


アクロバット前夜90°

アクロバット前夜90°


いい子は家で

いい子は家で

 平田 オリザ翻案『鳥の飛ぶ高さ


(6月23日)晴れ


夜 .


平田 オリザさんの『鳥の飛ぶ高さ』を観に行く。帰り際に、白神ももこさんを見かける。「えっ、なんでここにいるの?」とちょっとびっくりしたけど、ああそうか。劇中でフランス人がノリノリで踊っているへんてこなダンス。あの振付をやったのは白神ももこさんなのでした。なんか抜き打ちテストをされたような気分(汗)。見た瞬間に気付けって話だ(笑)。


さて。『鳥の飛ぶ高さ』は、オリザさんが今考えていること、やりたいこと、やるべきと思っていることがぎゅっと詰まった傑作だった。原作はミシェル・ヴィナヴェールさんというフランス人で、オリザさんは翻案ということだったけど、オリザさんの主要作品と位置付けてよい。


日本の中堅企業がフランスの企業(外資)に買収されるという話で、そのプロセスで様々な企業観・仕事観・人生観・価値観・結婚観・世界観・(演劇観) ,etc.が交錯したり、ひっくり返ったりする。


「中堅企業の社長って考え方古いよね」とか「フランス人ってうんちくタレるの好きだよね」とか、突き放して失笑気味に高みから見ていたのだけど、最後のほうは「ええっ、ちょっと、ちょっと、こんな世界にはついて行けないよ!」と自らの居場所を失った感じ。


嗚呼、生きていくって大変だな。。。


あ、あと、神話の特異性。特に日本神話の特異性がこの作品のキーになっていて、オリザさんは分かりやすいメッセージに最後まとめていたけれども、このあたりは各自もうちょっと考えてみてもいいかもしれない。神話ってツッコミどころ満載で理解を超えている。





  青年団


ニッポンには対話がない―学びとコミュニケーションの再生

ニッポンには対話がない―学びとコミュニケーションの再生


現代語訳 日本書紀 (河出文庫)

現代語訳 日本書紀 (河出文庫)


現代語訳 古事記 (河出文庫)

現代語訳 古事記 (河出文庫)

(6月22日)雨降って地固まる


昼はカレーを食す。◎□※×◇○●♡! 福永氏&ブルボン氏来店。「マンガホニャララ」(週刊文春)担当者も同伴。ブルボン氏に直筆カード求厶。快諾!福永氏にサイン求厶。快諾! 棚充実!サイン本も充実!さらに目下、コメント増殖中!! ↓こんな感じ。お客さん、喜んでくれそう。福永氏終日お客さんと語り合う。話はずむ。オススメの詩集を聞かれたり。「続・吉原幸子詩集」をオススメする。お買い上げ頂く。ありがとうございます!



 
 たとえば「最後の瞬間のすごく大きな変化」


 
 しおり風にコメントが! お買い上げ特典!! 差し上げます!!!



読書はリ・ポナイトの影響直撃。やっぱ、ナオコーラ。福永フェア棚にある「論理と感性は相反しない」を読む。あとはパラパラを踊れる音楽批評家・大谷能生。福永フェア棚にあるのは「持ってゆく歌、置いてゆく歌」だけど、僕はまだ前の本が読み終わってないから、こっち。「散文世界の散漫な散策」。





続・吉原幸子詩集 (現代詩文庫)

続・吉原幸子詩集 (現代詩文庫)


論理と感性は相反しない

論理と感性は相反しない


持ってゆく歌、置いてゆく歌―不良たちの文学と音楽

持ってゆく歌、置いてゆく歌―不良たちの文学と音楽


(ブレインズ叢書2) 散文世界の散漫な散策 二〇世紀の批評を読む

(ブレインズ叢書2) 散文世界の散漫な散策 二〇世紀の批評を読む

(6月21日)雨、途中でやんだ


朝起きられず。疲れピーク。体力回復に努める。予定していたモモンガ・コンプレックス『研Q』の見学をキャンセル。前回負けている相手だけに悔やまれる。神里雄大&白神ももこの新ユニット《神神(カミガ)》だっけ? に期待。


夕方から『リ・ポナイト』参戦。午前中ダウンしていた僕じしんの復活祭となる。全てのプログラムから刺激を受け、収穫があったけれども、誤解をおそれずに断言すれば、並みいる強豪を押しのけて優勝したのは《山崎ナオコーラ》さんだ!!!


今日の山崎ナオコーラさんの話づらそうな様子や、そのなかで出てくる言葉の一つ一つは、決してトークとして評価できるものではなかったけれど、家に帰って改めて振り返ってみても、ポイントが全くブレてなかった。


 山崎ナオコーラさんの発言から



自分が書いていいと思う作品だから本にしたいと思う。そして本にするからには沢山の人に読んでもらいたいと思う。他方で、本を出すということは様々な人の手を煩わすことでもある。出版社の人、書店の人、その他諸々。そういった人々の力があって初めて出版が実現する。それが分かっているので、ただ本を出したいというのではなく、本を出すことの責任も感じている。だからなお一層、読者に本が届いて欲しいと思う。それで自分でも飛び込みで書店を回ってサインをしたりした。それがセールスの向上には繋がらなかったけれども。

これは美談のように響くけれども違う。もっと本質的な話だ。






豊崎:「自分の作品で一番売れた作品はどれ?」


山崎:「・・・」


   「なんですかね、答えることを拒否するこのからだの感じは。」

ここしかないところで「答える/答えない」の線引しましたよね。もうみんな分かっているんですけどね。映画にもなったしね。でも、これ言っちゃうと全てぶち壊しですからね。今まで山崎さんが言葉を紡ぎ出して語ってきたことが、積み上げてきたことが、全部ぶち壊されてしまうんですよ。言おうと思ったら言えますけど、言えないし、言うべきでもない。


山崎さんがこの質問に答えなかったのは「優しさ」、「倫理的な判断」、あるいは「建て前」と取ることも可能ですよ。字面では。でも、その時の様子とか全てをひっくるめて受けとめると、そうじゃない。体が本当に拒絶してましたからね。論理と感性がブレてない。



豊崎:「自分の作品で一番売れた作品はどれ?」


山崎:「『人のセックスを笑うな』です。」


豊崎:「そうだよね。映画にもなったしね。」

こうなってたら、アウトですね。これ言っちゃったら作家じゃなくなってしまう。作家かどうかって、この寸前で踏み留まれるかどうかです。


自分が書いたものが読者に届くまでの道程が見えない。「いい作品が書けた!」=「よく売れた!」だったらいいのだけど、そうじゃない。だからと言ってメディアミックスの可能性を拒絶したり、テレビや映画を目の敵にしたところで何ら進展もないし、それはそれで間違ってるでしょ(映画化されることも悪いことではない)。確かにそっちに話を振ったらぐぐっと持っていかれる訳だけど、その寸前で踏み留まって語ったり、やるべきことがあるでしょ。


僕もいま《福永信フェア》やってますけど、福永さんの新刊の売行きにどこまで貢献できているかは怪しいですよ。店の売上げに貢献しているかさえ怪しい。売上げという意味では、正直言ってやらないよりはマシという程度ですよ。ただ、こういった活動を続けていけば、やっぱり状況は変わると思います。それにこの活動を止めちゃったら、もう書店員じゃないとも思いますね(勿論、通常業務もさぼってはいません)。


これ、もう一度、山崎ナオコーラさんの言葉に戻せば《自分の書いた本が沢山の読者に届いて欲しい》ということです。






作家はどこまで説明できるのか、すべきなのか? 最近、この問題を考えていたのだけど、山崎ナオコーラさんが一つの姿を見せてくれたように思う。答えられることを答えようとしない作家はダメだし、他方で作家を論理攻めにして論破したとしても、作家を捕らえたことにはならない。


この問題に絶対的な線引きはない。作家によって異なるし、例えひとりの作家であっても、その時々で線引きは変わる。その時々で、作家が何を言葉にする、しないを慎重に見極めていくしかない。その判別ができるかどうかがまた、批評家かどうかでもある。







論理と感性は相反しない

論理と感性は相反しない


(ブレインズ叢書1) 「批評」とは何か? 批評家養成ギブス

(ブレインズ叢書1) 「批評」とは何か? 批評家養成ギブス

(6月20日)往路晴れ 復路雨ぱらぱら


人文書担当等あつまって飲む。ボスの結婚祝いと新メンバーの歓迎会。とめどもない話。高血圧に悩む人あり、低血圧に悩む人あり。僕は典型的な低血圧。「朝、愛想悪い」とねえさまにダメだしされる。低血圧で遅番続くと朝は生きている心地せず。ふわ〜って感じ。血圧100は欲しい。 そのほか、バディウスティグレールは、もうちょっと売れてもいいかも、いややっぱ無理かもなんていう哲学思想話も。 新メンバー加入はありがたい。これを機に棚の整理整頓に努めたい。それにライバル店の出店などもあったから売上げ伸びてないみたい。ちょっとそのあたりも気にしてやろうと思う。


さて。一番の懸案事項。《福永信フェア ゲスト選書第2弾》「ブルボン小林書店」のオープンについて。今日、店にある本をかき集めたら、なんと、できてしまいました!「ガラスの仮面23巻」がなかったり、完璧ではありませんが、いい感じです。写真も見せちゃいます!


 
 ブルボン小林書店》


 
 ブルボン小林氏直筆の看板」と「選書リスト」


ただし、基本的にストックを持っていないので、ドバイの大富豪がやって来て「ブルボン小林書店」をいたく気に入って買い占めてしまったら、その時点で閉店となります。悪しからず。


皆様のご来店を心よりお待ちしております。(←なんか日記ぽくないぞ!偽日記にしようか!)




ぐっとくる題名 (中公新書ラクレ)

ぐっとくる題名 (中公新書ラクレ)


ガラスの仮面 (第23巻) (花とゆめCOMICS)

ガラスの仮面 (第23巻) (花とゆめCOMICS)

(6月19日)曇り 雨は降らなかったと思われる


ミスター・リトルモア内原氏来店。『アクロバット前夜90°』の売行き順調とのこと。士気が上がります。


打倒『1Q84』! めざせ100万部!!!


さて。トラブル発生。「再発注&ブルボン小林さん選書」の注文書籍が入荷せず。FAXミスなのか? 通信エラーの通知が来たものはTEL注文したからたぶん注文は通っているはず。おそらく出版社から問屋さんまでは本が届いていると思われるが、そこからどこか違うところへ行ってしまったのか、問屋さんのどこかで眠っているのか? 明日確認できなければ再発注するしかない。また時間がかかる。。。頭が痛い。


「ゲスト選書第2弾《ブルボン小林》選書リスト(コメント付)」をレイアウトして、プリントアウト。こちらは予定通り配布できる。肝心の《ブルボンコーナー》の棚も明日ちょっと早出して店頭の本をかき集め、なんとかつくってしまおう。



嗚呼、こうなるとプライベートにも影響が! 確信犯で浮気をする。磯崎憲一郎世紀の発見』を新刊棚で発見してしまう。そして読み始めてしまう。よい。磯崎さんをまだ読んだことない人、オススメです。この感触、なんとも言えません。


で、ふと思う。福永さんと相性悪くないんじゃないか。で、福永さんの「座長と道化の登場」も並行して読み始める。よい。福永さんまだ読んだことない人、オススメです。この感触、なんとも言えません。


で、ふと思う。フアン・ルルフォと相性悪くないんじゃないか。で、ルルフォさんの『ペドロ・パラモ』も並行して読み始める。よい。よい。よい。


河出・河出・岩波。おしい! フィーバーならず!


ちなみに『ペドロ・パラモ』は《保坂和志フェア》のときに買って、途中まで読んでストップしていたのだ。ちなみに《保坂和志フェア》の選書リストはこちら。《福永信フェア》と合わせてお楽しみください!!!





世紀の発見

世紀の発見


コップとコッペパンとペン

コップとコッペパンとペン


ペドロ・パラモ (岩波文庫)

ペドロ・パラモ (岩波文庫)

(6月18日)曇り ちょっと雨も降ったみたい


ちょっとやってみたいことがある。そして、やってみる。


 屋根裏部屋で無理矢理要約



白色     橙色 血液 鼻血    足跡            真っ赤 血液        流血  赤色 流血  血液 緑色 緑色 緑色 緑色 赤色 緑色 紫色 両手 紫色  紫色    流血   

・「屋根裏部屋で無理矢理」
 ※ 文中の強調文字は、初出時には五色(白、橙、赤、緑、紫)に着色されて掲載 (されていたらしい)


・ 季刊文芸『リトルモア』VOL7(に初出掲載されたらしい)





アクロバット前夜90°

アクロバット前夜90°


 季刊文芸『リトルモア』 VOL1〜25


 なんとフェア棚に全部あります!!!!!

(6月17日)晴れ ちょっと雨も降った



写真家の福居伸宏さんに勧められた〈写真集〉吉村朗『SPIN モールユニットN°9』が届くのをまつ。12時直前に届く。午前中指定で確かに午前中に到着。が、足止めくらう。


《写真展》「LAND SITE MOMENT ELEMENT Div.2 鈴木奈緒・吉村朗・湊雅博・広田敦子は成功していると、僕は思う。Div.2の特長を一言でいえば、「1+1=2」ではなく「1+1=∞」である。一枚一枚は何を撮っているか明らかである。一枚だけ取り上げれば、Div.1の坂本政十賜山方伸両氏のような多様性はない。けれども展示として複数枚並べられると、一枚一枚の足し合わせだけでは説明できない何かが生じている。それを各々が確信的にやっていて実際に成功している。(鈴木さんはトークで自らちゃんと話していたし、広田さんと湊さんは個人的にインタビューした時に、そのような意識を語っていた。)6月23日まで展示しています。皆様もぜひ実際に観てください! あとDiv.1の写真作品をネットにアップする許可がでたので、近日中にDiv.1 ギャラリートーク(作品解説パート)を写真をまじえて再現します。お楽しみに !!


ただ、その中で吉村朗さんの作品だけは異質で、別格であった。成功しているとは思う。ただ、どう成功していて、どういいのか、僕の言葉では歯が立たなかった。それで過去の作品を観たいと思い作品集を注文したのだ。『SPIN モールユニットN°9』。・・・。まだ言葉は出ない。時間をかけて付き合ってゆく。


 



都心へ。写真家の坂本政十賜さんが数年前に《青森の民家》を撮ったシリーズを見せていただく。おそらく、青森という厳しい気候条件が産み出した奇蹟だろう。「[http://www.isis.ne.jp/mnn/senya/senya0486.html:title=建築家な

(6月9日〜16日)


たぶん、6月9日から日記を始めたと思うのだけど、データーが消えた。バックアップ取ってなかったので再現不可。
学生野球観に行ったり(10日)、東京デスロック観に行ったり(14日)した。