《柴崎友香フェア担当者日記》その4
(10月16日)《柴崎友香フェア》ラストスパート企画発表!!!
【緊急ニュース速報】
アラザル球団、阪根タイガースから影の名匠S氏をヘッドハントか?どうなる阪根タイガース!?
『アラザル』に参戦します、というか原稿を書くチャンスを与えてもらいました。『アラザル』はジュンク堂新宿店でも販売していますが、なかなか読ませます。侮れません。
名前を挙げると西田博至・黒川直樹・西中賢治・諸根陽介・安東三といったあたりの論考はクオリティが高いです。みな論じているテーマも文体も全然違いますし、さらに山下望・三上良太といった宇宙人のような異才もいます(笑)。
《耳寄り情報》
『アラザル vol.3』が12月6日(日)に開催される《第9回文学フリマ》で発売されます!!
《ラストスパート企画》
『アラザル vol.3』に私は「柴崎友香(論?)」を寄稿します。原稿のしめ切りは10月31日! 《柴崎友香フェア》も10月31日までなので、原稿執筆の模様をここにドキュメントします。一応完成する予定ではいるのですが、どうなることやら分かりません。冷やかし程度にご覧頂ければ幸いです。
《モットー》
なせばなるなさねばならぬホニャララホニャララ
出版社の体力がどんどん落ちていて、彼らに作家(批評家)を育てる働きをもう期待できません。そんななか『PLANETS』『REVIEW HOUSE』『HB』『界遊』といったミニコミ誌が活動しています。
また賛否両論あるみたいですが『思想地図』や『SYNODOS』といった批評誌での執筆を通じて力をつけつつある書き手も出てきています。
さらに佐々木中、門林岳史、日高優といった実力派の研究者の単著もちらほら出てきました。
昨今の状況を悪い、悪いとただ嘆いていても何も変わりませんし、何も始まりません。何でもやってみることが必要です。十分ではありませんが、ともかくやることが必要です。
僕もやります。
(10月17日)
■ 原稿は一枚も書けてませんが、エスキスを始めてからだいぶ時間が経っているのでこれまでの経過をメモで押さえておきましょう。とりあえず一番始めのメモ。
■ 9月15日エスキス帳
■ 9月21日エスキス帳
(10月18日)
■ エスキス@ファミレス。
論述形式をとるので理論的拠り所が欲しいと思い柴崎さんが選書した《地理学》の本をここ数日間あたっていました。
- 作者: イーフートゥアン,小野有五,阿部一
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2008/04/09
- メディア: 文庫
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- 作者: エドワードレルフ,Edward Relph,高野岳彦,石山美也子,阿部隆
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 1999/03/01
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- 作者: オギュスタンベルク,Augustin Berque,中山元
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2002/01
- メディア: 単行本
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オギュスタン・ベルク『風土学序説』は品切本で今回のフェアでは入手できなかったのですが、近所の図書館にあったので借りてきました。この3冊のなかでは一番興味深いです。論述しているポイントに共感しました。
■ 9月22日エスキス帳
■ 9月29日エスキス帳
(10月19日)
■ まとまった時間がとれたのでけっこうエスキスやったけど突き抜けず。『風土学序説』の論説のポイントに共感したのだけど、このポイントを柴崎作品を通じて論じたいと思うのだけど、どうなんだろうという迷いを吹っ切れず。
■ 10月12日エスキス帳(全体通し2回目 やや清書)
※ 黒ペンが途中で死んで青ペンにチェンジ! (ただそれだけ)
(10月20日・21日)
■ 五反田団の演劇を観て、感想とか、前田司郎さんのこととかを考える。
■ スケッチ3枚
■ 箱書きだけだと文章が書けなくなるので、文章になってなくてもいいから頭から出てくるままにとりあえず書いてみる。
(10月22日)
■ 原稿の全体構成が通らないから、とりあえず作業を一旦ストップ。文章の入りを「山方伸さんが撮った写真について」にするつもりなので、今日はその文章のエスキス。
■ 山方さんの選書から宮本常一『忘れられた日本人』とガスケ『セザンヌ』をピックアップ。
そして宮本常一を読む。よい。ここ数日ずっと理詰めだったので、この空気感はなおよい。
- 作者: 宮本常一
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1984/05/16
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- 作者: ガスケ,Joachim Gasquet,與謝野文子
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2009/04/16
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(10月23日)
■ 柴崎友香『その街の今は』
■ オギュスタン・ベルク『風土学序説』
■ ジャック・デリダ『コーラ』
ざっとチェック。軸はこのラインで決定。
(10月24日)
(10月25日)
■ 10月12日のエスキスで構成が通ったので、これで書こうと思えば書けるのだけど、今月末に仕上げるスケジュールには乗らない。そこでポイントを絞ることにした(10月20日に決定)。
■ 今日はまずやるべき作業をノートにざっと書き、ベルク『風土学序説』読解作業に移る。
■ 10月25日エスキス帳(チェックリスト)
(10月26日)
■ ベルク『風土学序説』を読む・読む・読む。
■ 10月26日エスキス帳
柴崎友香『その街の今は』を読み解くのにプラトンの「コーラ」は有効だけど、プラトンの図式にハマっちゃうとつまんねーなって思う。第三項導き出して、無限後退、、、。そこを突き抜けるとまではいかなくても、すり抜けるぐらいはしないとな、、、。明日も読む・読め・読も!
- 作者: 柴崎友香
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2009/04/25
- メディア: 文庫
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(10月27日)
■ ベルク『風土学序説』→デリダ『コーラ』→プラトン『ティマイオス』→ベルク『風土学序説』→デリダ『コーラ』→プラトン『ティマイオス』→ベルク『風土学序説』→デリダ『コーラ』→プラトン『ティマイオス』→まだ自分の物にならず。ギリギリまで粘れ!
(10月28日)
■ 実は西山雄二先生からプラトン『ティマイオス』読解の虎の巻をもらっている。これがあれば『ティマイオス』本文を読まなくてもよいのだけど、『ティマイオス』を読んでみた。『ティマイオス』を読んでもピンとこないが、『ティマイオス』を読むことで虎の巻にピンときた。
(10月29日)
■ リサーチ終了(時間切れという意味)
■ 明日の予定
・朝 ざっと筋書き
・昼 ブレーンストーミングに乱打
・夜 再構成
■ スケッチ3枚。松浦寿夫さんのレクチャーの引用等を検討する。
(10月30日)
■ 29日は結局まとまらず、引き続きメモをしながら、構成をねるねる寝る。
■ 11月1日の脱稿をめざし、最後の休み。1日とにかく構成を練るがまとまらず。
■ スケッチ8枚。この日もまとまらなかったので絶望していたが、後から思えばこの日が山だった。
(10月31日)
■ 31日夜、「通った!」と思う。しかし、本当だろうか?
■ 電車のなかでとにかく書いてみたのだった。
(11月1日)
■ 『アラザル』誌の全体ミーティング。
■ デザイン担当者に原稿締めきりを7日までに延ばしてもらう。ブログがストップしていたことからも察しがつくように、敗色濃厚でちょっと凹んでいたのだけど、これならば頑張ればなんとか行けそう。頑張ろう。
(11月2日)
■ ワープロ1発目
(11月3日)
■ 扱う情報が多過ぎて頭のなかで整理できないので、引用する可能性のある文章をとにかくデーター化する。
■ ひたすら打ち込む単純作業。その間に構想を練る。
(11月4日)
■ ワープロ2発目。
(11月5日)
■ レクチャー形式に決めたら、肩ひじ張らずにリラックスできるようになった。実際にレクチャーする気持ちでなんどもなんども、頭から通す。まだレクチャーになってないけど、なんどもなんどもやって完成させようと思っている。
■ イメージをぐっと引き寄せるために使うかもしれない図版をスキャンしてプリントアウト。図版を手元におくと構成がぐっと見えやすくなる。
■ だいたいゴールが見えてきたのでチェックリストを作成。必要なポイントを1つずつ潰していく。
(11月6日)
■「人間とは思えないですよー」って意味深なこと言ってますね(笑)。
■ 原稿はメインラインで使う図版はかたまった。文章がまだまだゆるゆるなので固めないと。。。
■ ワープロ3発目
(11月7日)
■ 兄の結婚式。行き帰りの車内で赤を入れる。
■ ワープロ4発目
(11月8日)
■ ワープロ5発目。枚数減らすためフォント5ポイントに落とす。
(11月9日)
■ ワープロ6発目。
(11月10日)
■ ワープロ7発目(最終)
(11月11日)
■ 早朝デザイン担当Mくんにデーターを送る。
(11月12日)
■ 注書きと図版データーをM君に送りなおした(と思う)。
(11月13日)
■ 誤字脱字等をチェックしていた(と思う)。
■ 柴崎友香論ファイル
(11月14日)
■ 朝、デザイン担当Mくんがレイアウトしてくれました。店から帰って、夜から校正作業。
M君が組んでくれた原稿(40ページ)
(11月15日)
■ 編集会議後、M君が行間つめて32ページに作り直してくれた。
■ ひたすら校正。この段階では文章の大きな変更はしていない。細かい言い回しは変えたけど。
レイアウトをみて読みやすさのチェック。
図版を入れる入れない。明朝体にする、ゴシック体にする。そういった修正がほとんど。
32ページになった原稿
(11月16日)
■ 自分の原稿は触らなかったと思う。
■ 校正作業
・山下望原稿 : やるなー。ぼくも古川日出男さんのライブや志人を聴いて、声・詩という観点から文学論を書けないだろうかって考えたことがあったけど、うまくいかず。山下くんはSEEDAを文学として論じている。けっこうやられた感あり。
・高内原稿:汗・汗・汗。。。この発想とこの文体がいったいどこからでてくるんだろー。高内氏の実際の年齢がいくつなのか知らないけど、そこそこオッサンだと思うのだけど、女子高生ことばを操れるって、これは職業柄か?人柄か?こういう才能ってけっこう羨ましいって思う。。。
(11月17日)
■ 深夜、最終チェックをデザイン担当のM君へ送る。
■ ぼくがデザインソフトを持っていないがために、誤字脱字、フォント変換、数字の縦変換 ,etc.すべてをデザイン担当のM君にやってもらうことに、、、。次回はこんなことにならないよう対応策を考えよう。。。
手元にある最終稿
(11月18日)
■ 戌井さんomolo!!!
「まずいスープを作ったあと父親が失踪したのは事実です。」
- 作者: 戌井昭人
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2009/10/01
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(11月20日)
■ 無事入稿との連絡あり。
《SPECIAL NEWS》
『アラザル vol.3』
12 月 6 日(日) ON SALE !!!!!
@《第9回文学フリマ》
拙著「現代小説解読講義:柴崎友香『その街の今は』」が掲載されます!!!