書評

中野剛志『TPP亡国論』

■ 中野剛志『TPP亡国論』(集英社新書)を読了。 《感想文:「震災復興」、「日本と世界、そしてグローバル企業の進むべき道」》 非常に刺激的な一冊。おそらく、政府関係者も含めて大半の人が、TPPをよく分かっていないのに賛成したり反対していると思われ…

内田樹『下流志向』解題

“生きる”の欠如 1.“生きる”の実感 一年生が終われば次は二年生。二年生が終われば三年生。小学校を卒業すれば次は中学校、高校へと進み、受験をパスすれば大学に入学する。そしてまた一年生が終われば二年生へと進んで行く。学校に通っていたときは一年々…

羽生善治とピカソ

1.ほんとうに新しい人 「負けました」。一日午後十時二十三分、投了の意思を告げた。将棋盤を挟み目の前に座っているのは羽生善治王座。対局室に報道陣がなだれ込み、私の背中越しにフラッシュの雨を浴びせた。 私が挑戦した第五十三期将棋王座戦五番勝負…

《平成版》学問のすすめ

1.おとなの勉強不足 「キヤノン」はCanon、つまり「観音」からとったネーミングで、『ツァラトゥストラはかく語りき』(ニーチェ)の「ツァラトゥストラ」は「ゾロアスター」のドイツ語読み。(※1) 「へぇ〜、へぇ〜」。 こんなトリビアへの驚きは序の口で…