《ゲスト選書》ブルボン小林
会期: 2009年6月21日(日)〜 7月10日(金)
※福永信さんのお友達のブルボン小林さん(コラムニスト)に選書して頂きました。
『ゲームホニャララ』&『ジュ・ゲーム・モア・ノン・プリュ』(文庫判)が発売された9月にもブルボン書店が復活しました!!
- 作者: ブルボン小林
- 出版社/メーカー: エンターブレイン
- 発売日: 2009/09/12
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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- 作者: ブルボン小林
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2009/09/09
- メディア: 文庫
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- 作者: ブルボン小林
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2006/09
- メディア: 新書
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《スポンジ仲間》(福永フェアで売ってくださっている個人誌「スポンジスター」に関わってくれた人たち)
自意識漫画の旗手。
「スポンジスター」では五万字対談を掲載。
「まほちゃんの家」しまおまほ(wave出版)
漫画と違うようで地続きの、すこし哀しげな文章。
「スポンジスター」では表紙画を手がける。
「おとなの自由研究 」林雄司、大塚幸代、住正徳共著(アスペクト)
「死ぬかと思った」が有名な林雄司だが、ネットの「デイリーポータル」ではもっと面白い事をやっている。
「スポンジスター」では、嘘の読者投稿欄を担当。
林雄司と同じく、「デイリーポータルZ」で活躍する才女の、才能無駄遣いなココロミの本。
「スポンジスター」には「八重樫(ヤクルトの)」カルタを寄稿。
「シーマン」「タワー」を手がけた鬼才は文章も明晰だった。
「スポンジスター」ではエッセイを寄稿。
ノベライズだが、秋葉原ほか様々な街の景色を新たに示してみせた「都市小説」でもある。
「スポンジスター」では掌編を寄稿。
「零式」海猫沢めろん(ハヤカワ文庫)
ラノベ、サブカルなどピンポイントで精通する二十一世紀男子の脳内の、これはほんの一端。
「スポンジスター」では2g氏と漫画原作を合作。
《テレビゲーム関連》
「田尻智 ポケモンを創った男」宮昌太郎・田尻智(MF文庫ダヴィンチ)
都市論、80年代論にもなっている優れた一冊だが、生みの親なのにポケモン画像をじかに使えないという滑稽な業界の現状が文庫の表紙に保存された。
「ゲームになった映画たち―シネマゲーム完全読本」吉田武編著(三才ムック)
こういった「接続」が「上手に」できる語り手は、ゲーム界内部には皆無。
「恋愛小説ふいんき語り」米光一成、飯田一俊、麻野一哉(ポプラ社)
普通に文芸評としても面白いと書評で喧伝したが、そういえば文芸評もまた売れないのだった。
「ジュ・ゲーム・モア・ノン・プリュ」をともに作った「寝ブソク三銃士」M氏の労作(一巻のみ)で、これは座右の一冊。コナミの年表の不自然さに、ゲーム企業の不自由さと、M氏の苦労がしのばれる。
《漫 画》(週刊文春の連載「マンガホニャララ」でとりあげたものを中心に)
最近よんで面白かった一冊。という具合に、熱い褒め言葉が浮かんでこないところが実は特色と思う。
マヤが天才性を遺憾なく発揮し、読むだけでアドレナリン出まくりの巻(この巻を最高とするファンは多いようだ)。主役ではないオーディション参加者が「失恋レストラン」を歌って失敗するところが俺の「ガラスの仮面」クライマックスで、もうあれが紅天女だったってことでいいよ、とさえ。
「ゲルマン城の虜」の回で、ピンチにかけつけるパタリロが「フラッシュゴードンのテーマ」で参上するところが白眉。これで僕はQUEENを知った。
全漫画におけるベストオブ「一巻」。漫画の良さは「ヒキの強さ」なんかじゃない。ベストコマは人面魚をガブリと食べた主人公の感想「パサパサしてる」。
マンガなのにマンガっぽくなくて、でも「芸術ぽいことやってる漫画家」たちに特有の力こぶも感じない。この短さを支持する。
長いが全巻並べざるを得なかった! 傑作というか、万人に効き目のある書物。
「T.Pぼん」藤子F不二雄(潮出版)
藤子Fは、本当は「モジャ公」を選びたかったんだが絶版との由。近々出る全集を待ちたい。
ちばてつやのベストは「島っ子」で、ちばあきおならこれ(あえていえば前半のみ)。動物たちのセリフの、フキダシの枠の部分まで「読んでしまう」。
バブル時代の彼の麻雀漫画で、片山が描いた主人公の名は「持杉ドラ夫」だったのが、21世紀の主人公の名は波溜(なみだめ)になった。あのドライなギャグに優しさも追加された、正調な成長マンガの傑作。
小説とかも含めて、09年上半期の最高傑作(そんなにたくさん読んでないが)。めくれば誰かが「仲が良い」ってだけで、本(をめくること)の意味がある。
「吉本隆明全マンガ論」吉本隆明(小学館クリエイティブ)
今読んでる2。E.T.やナウシカの筋を最後まで説明してくれる。僕より優れた「説明家」が、昔からちゃんといた!
濃密なインタビューもだが、みたことあるのに初めて見る、作者名の「ロゴ」もすばらしい(このスタッフが、拙著「ジュ・ゲーム」の表紙もてがけた)。
《国内小説》
信じられるオカルト。不思議な新境地。
版元を移しての刊行、という「落ち着きのなさ」にも(勝手に)親近感。
音楽の世代ではない、音楽フェスの世代の書いた小説。ナガシマ不要論とかよぎったよ。
《海外小説》
「サーカスの息子」ジョン・アーヴィング(新潮文庫)
アーヴィングの中では駄作で、かつ最も愛しい。駄作で愛しいのは傑作よりも希有なこと。
今読んでる。これはコメディってことでよいですね?(求ム、一緒に読んでくれる「俺のクイークェグ」)。序盤のクジラの説明を飛ばして読まないと挫折。
《愉快なナガシマ家》
「ことばの意味」長嶋善郎ほか(平凡社ライブラリー)
言葉のブームがくるはるか前の70年代に「のぼる、とあがる、のちがい」とかを、言語学者たちがブツブツいってた。伯父の善郎が、稿の最後に俳句を引用するあたりがシャレてる。
「ナンカコー文学」の双璧にして、こっちはリアリズムサイド(もう一つはなんなんだ)。
「古道具ニコニコ堂のなんとなくコレクション」長嶋康郎(新紀元社)
ブルボン小林が初めて「推薦オビ」を書いた記念すべき一冊。このオビの裏側のまっさら感に、売り手のガツガツしてなさ(しなさすぎ!)をみて、いろいろ納得した(もっと売ってくださいよ)。
《絵 本》
「ふってきました」/もとしたいづみ/文 石井聖岳/絵(講談社)
もとした作品の、ぬけぬけした面白さが横溢している。落下する動物たちの表情もいい!
「ころころにゃーん」長新太(福音館)
遺作が0歳児向けということ自体、なにかが「ころころ」一回転した感じだ。
《福永信フェア》ゲスト選書
(その1)青木淳悟
(その2)ブルボン小林
(その3)円城塔
1.小説
2.詩
3.評論
4.美術論
5.作品集
6.マンガ
7.映画・演劇
8.絵本
9.雑誌
10.その他
11.福永信・単行本未収録作品